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腐った毎日

 食パンを焼いて食べた。ぼくは食パンをトースターで焼いて食べるとき、マーガリンをこれでもかと塗る。体に悪そうだが好きなのだからやめられない。しかし今日はちっともおいしくない。パンが8枚切りだからだ。この薄さだと中の水分まですっかり飛んでしまうから、口が乾燥する不快感しかない。
 先月まで楽しかったことが今は全く楽しくない。布団をかぶりながら、泥の中を当てもなく歩いているような気分に浸っていても仕方がないから、気を紛らわすために本を読んだ。馳星周さんの漂流街という作品だ。読むのは多分三回目くらい。馳星周さんの作品は基本的に長大だ。この本も文庫本で900ページ近くある。それにも関わらず、どの作品も一度読み始めるとどこで本を閉じていいのか分からなくなる。そして気が付くと日が暮れていたり、朝日が昇っていたりする。
 漂流街で覚えているセリフがある。「神なんていない。いるのは人間だけだ。そして、人間はなんだってやるんだ」(かなりうろ)特に穿ったセリフという訳でもないが、徹底したリアリティを元に書きあげられた作品だからこそ心に引っ掛かる。