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ぶつ切りレビュー その2

リアル

小学生の時分、理科の授業で根が生えまくった球根の絵を描き、「リアルだね!」と友達に言われたことがある。調子に乗ってそんな感じの絵ばかり描いていたら、同じクラスのともみちゃんに「自慢してんの?」と、怒られてしまった。

街灯

田舎に行くとありがたみが分かるランキング5位くらい。ロンドンの濃霧の中でぼんやりと輝いていると、何か事件に巻き込まれそうな感じ。

流行

つまりは目まぐるしい使い捨ての文化。好きな者は時代の先端に立った気になるで良し、嫌いな者はそれを公言することで孤高を演じられて良し、お互いうまく利用している限りケンカにはならない。

セロテープ

ガムテープより上、布テープより下の使い心地。ノートに貼って10年とかほったらかしとくと、飴色の海苔みたいなパリパリになって、実にヴィンデージ感溢れる。

不器用

オールラウンドに不器用なので、もうどうしようもない感じ。だから似たような人を見ていると、辛くなってつい肩入れしたくなるのだ。

靴下

駅ビルでよく専門店を見かけるので、いつか就職したいと思っていた。しかし、お客さんも店員さんも女性しか見たことがなく、ぼくの入る余地があるのだろうか、その点だけが心配。

タトゥー

どたキャン遅刻の常習犯で同性愛パフォーマンスがおまけの、一時期日本でもティーンズたちの間で大ブレークした(適当)アメリカだかどっかの音楽ユニット。現在でもオレンジレンジ並みの根強い人気がある。

説教

十字架をチラつかせながら古めかしい本を開いている、もしくは禿頭の男性の正面で正座を強いられている印象。いくつになっても、歳の離れた人に怒られるのは辛い。

結婚

みんな当たり前にしていることが信じられないものの一つ。墓場とかくだらない自虐垂れるより、奥さんをずっと大事にできる人になりたい。

酸素

ないと死ぬ程度に必須な気体。酸って聞くとドロドロなんでも溶かしちゃうぞ、な気味の悪い感じなのに、素が付くだけで途端に体に良さそうに思えてしまうから不思議。

人形

好きで写真集を買ったり展示を見に行ったり色々してる。美しく、恐ろしく、時には艶かしく、かかる人の手によって様々な命を吹き込まれる、モノの域を凌駕したヒトガタ。

消毒

度数の高い酒をドボドボするんじゃなく、わざわざ口からブバァーとするのには意味があるのか兼ねてからの謎。傷口に向かって満遍なく吹き付けるのって、結構難しそうだし。

視線

漫画などでよく目にする「気配を感じる」と言うのはつまりは、相手の視線、体温、呼吸、衣摺れ、空気の揺れ、などを感知している、と言うことなのだろうか。

砂浜

貝殻や流木、瓶に入った手紙を探したくなる。大抵は海とセットなので、波を眺めながら城を作っているだけで、容易に一日を過ごせる。

キス

文学的には接吻、幼児的にはちゅっちゅ。むしろ、どんな時にキスと言えば様になるのか見当もつかない。理想は少年になって、背の高い年上のお姉さんに背伸びしてちゅっちゅすること。

値札

価値を示すが真に大切なものには貼れないことが多い役立たず。財布の価値は札の枚数であり、カードの残高。そんな当たり前の事実を曇らせる、困ったやつ。

否定

大して知らなくても俺は分かっている面ができる便利グッズ。癖になっている人はやがて一人になった時に、自分は何も生み出せなかった。とようやく気づくのだ。

降るたびに「こんな日に限って」と睨まれる嫌われもの。しとしとちゃぷちゃぷ心地よい音を奏でる。「映画における雨とは、決して空の気まぐれではない」とは、あるサタニストの言葉。

明日

寝るとやってくるもの。平日の夜には誰もが待ち望み、休日の夜には誰もが忌み嫌う。そんな狭間で常に揺れている、忙しいやつ。卒業文集で「明日は明日の風が吹く」、とだけ書いた友人の友人がいた。

被害妄想

一日の大半を布団の中で過ごすようになると、半ば妄想の世界の住人になれる。飽きたり、つまらない妄想が入り込んでくるようになったら、さっさとやめて外に出た方がいい。

仕上げ

画竜点睛。神経質な人ほど泥沼に堕ちる最後の関門。やり過ぎると「完璧すぎる虚しさがある」とか難癖を付けられることも。

冷たい手

心が温かいからだと誰が言ったかは知らないが、ふーふーして温めたくなる。手が汗っかきのぼくでも、時折冷たくなることがあるから、そんな時はフーフーして欲しい。

一本道

爆音でひたすら直線を駆けるドラッグレースっていかにも欧米的。直線とは言え、ハンドルさばきには高度な技術を要求される。海外に行ったら一度観てみたい。

ベル

急かされてる、もしくは何かが始まりそうな感じ。人のいないレジに置いてあっても、なんだか偉そうで押すのをためらう。なるだけ関わりなく生きていきたい。

正当防衛

字面は端正だが血なまぐさい響き。昔見た映画で、DVの果てに夫を銃殺した奥さんが、裁判中に義理の父から「せがれを殺しやがったな!」と掴みかかられるシーンがあり、世の理不尽を思い知らされた。

コンビニ

今や24時間営業が当たり前だが、深夜にワンオペさせるような所は利用したくない。ローソンバイト時代、店長が「もう一ヶ月くらい、ここでしか買い物してないよ。ありえない職場だよね」と言っていたのが忘れられない。

紙切れ

価値が無いように言われることが多いが、結婚式で米に混ぜて振りまいたり、枯れ葉に混ぜて芋を焼いたり、なんでも混ぜてしまえば、意外と使い道はある。

誤算

くだらないミスも言い方によっては格好がつく。ローソンバイト時代、週に一度の出勤すら頻繁に変わりを探し、平然と遅刻を繰り返し、年上の上司までクン呼びしていた高校生のバイトがいた。驚くことに、本人には全く悪気がないのだ。こんなのを雇ってしまうのは、ただの阿呆。

掃除

面倒だが嫌いではない。家具の配置などを決めるとき、念頭に置くのは掃除のしやすさ。あまり適当に置くと空気の流れが悪くなり、ホコリが溜まりやすくなるのだ。年末大掃除で風呂場を徹底的に洗ったら4時間近くかかり、翌日から筋肉痛で数日間喘いだ。

小さい頃は容易に触れたが今は無理。ゴキブリ以上に恐れていた友人は、夏場は一歩もベランダに出られず、大層恨んでいた。程度の差はあれぼくも似たようなものなので、てんとう虫とちょうちょ以外の虫は絶滅しても別に困らない。